「ウイルス」「細菌」「真菌」はどう違う?
●感染症を引き起こす病原体はいろいろ
私たちの体に侵入し、感染症を引き起こす病原体にはさまざまな種類があります。
よく知られているところでは、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの「ウイルス」、大腸菌やサルモネラ菌などの「細菌」、水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)などの「真菌」があります。
これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

●ウイルスと細菌では治療薬が異なる
(1)ウイルス
ウイルスは、単独では増殖することができません。そのため、ほかの細胞に侵入して自己を複製することで増殖し、細胞を死滅させます。
ウイルスによる感染症の予防に有効なのはワクチン接種ですが、すべてのウイルスに対してワクチンが開発されているわけではありません。抗ウイルス薬の開発は難しく、治療薬があるものはごくわずかです。
(2)細菌
細菌は自己増殖ができる微生物です。私たちの体に入り込んだ細菌は分裂を繰り返して増殖し、人間の細胞に侵入したり、毒素を出したりしてその細胞を死滅させます。
細菌には、一部を除いて抗菌薬が有効です。ただし、不適切に抗菌薬を使うと、薬の効かない細菌(耐性菌)が生じることがあるため、慎重な判断が必要とされます。
(3)真菌
真菌はカビの仲間です。人間の細胞に似た構造をしており、細菌より高等な生物です。自然界に広く分布し、ヒトの組織に付着して感染症を引き起こします。
真菌による感染症には、皮膚の表面にとどまるものと、皮膚の奥や内臓などの体の深い部分にまで及ぶものがあります。治療には、抗真菌薬が使われます。
原因となる病原体によって、有効な治療法(治療薬)は異なります。感染症が疑われる場合は、早めに受診して、きちんと治療を受けましょう。
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